「智子……」

 画面には、智子からの着信を告げるものだった。

 電話なんて、今まで一度もしてこなかったじゃないか。

 どうして、こんなときに……。

「智子…………」

 わたしはとっさに、電話に出るためのボタンを、タップしてしまった。


『もしもし……愛美ちゃん』


 弱々しい、智子の声が聞こえてきたかと思うと、彼女はわたしの返事を待たず、用件を伝えてきた。


『お願い。これがわたしの最後の頼みだから……聞いてほしいの』



 ――図書館の前の公園で、待っているから来てほしい。

 彼女は泣きそうな声で、わたしにそう告げた。