たとえその途中の道端でのたれ死んでも、あの家に戻るよりは何百倍もマシだ。

 久瑠実さんには、もうわたしの様子がおかしいことに気付かれているけれど、彼女は詮索してくるタイプではないから、このまま上手くこなしていれば大丈夫なはずだ。

 そう思って、近江家の扉を開けたところで、わたしは自分の考えの浅はかさを思い知らされることになった。

 そこには、わたしの予想していなかった人物が待ち構えていた。