中学生のわたしには知識がなくてはっきりとは断言できないけれど、多分海外メーカーのものだ。
「さぁ、助手席座って座って! あっ、荷物は後ろに置いてくれてかまわないからね」
車の扉を開けて、私をエスコートする由吉さん。
本音を言えば、後部座席でゆっくりしたかったんだけど、あまりにも由吉さんが隣に座ってほしそうにするものだから、言われた通り、荷物だけを後ろに乗せて助手席に乗りこむことにした。
そして、きっちりシートベルトを締めたところで車は発進した。
「愛美ちゃん。あまり緊張しなくていいからね。僕ってこの通り、あまり頼りになるって感じの大人じゃないけど、気軽に話してくれると嬉しいなぁ」
あまりしゃべらないわたしに気を遣ってくれているのか、由吉さんは明るい声で話し続けてくれる。
わたしの周りの大人は、いつも不機嫌そうな顔で話しかけてきていたので、由吉さんのこの態度は、わたしにとって、とても新鮮だった。
――だからこそ、わたしにしては珍しく、自分から話題を振ってしまったんだと思う。