いや、そんなこと、今はどうでもいい。
わたしはせめてもの抵抗として、あいつらの嫌がらせなんて何ともないと、お前たちのやっていることは無駄なんだと訴えるような態度を見せつけてやりたかったのだが、おそらくそれも無駄骨に終わってしまうだろう。
そのことが、ちょっとだけ悔しい気持ちもある。
だけど、ひとつ、わかったことがある。
あいつらは、わたしに直接、暴力を振るったりするつもりはないらしい。想像していたより、ずっと理性的な人間だったらしい。
最初に殴った一発は、たまたまカッとなって殴ってしまっただけのようだ。
だとしたら、あんな大袈裟な言動を吐いていたけれど、わたしに対する嫌がらせなんて、すぐ終わらせるのかも知れない。
新しいおもちゃを見つければ、馬鹿みたいに飛びついて、昔のことなど忘れてしまう。
あいつらは、そういう人種だ。
だから、あとちょっとの時間が過ぎれば、わたしはただの、クラスにあまり馴染めていない転校生に戻れるはずだ。