そうだよ。わたしは、あんたたちとは、違うんだ。

 あんたたちみたいな、幸せ者に、わたしの気持ちなんてわかるわけがない。


 あの子にも、こういう風に、ちゃんと言ってあげればよかったのかな……、と考えながら、わたしは何事もなかったかのように、机に座って、次の授業の準備をしようとしたけれど、もう準備する教科書は捨ててしまったのだった。

 これは先生に怒られるかも。

 まぁ、どうでもいいけどね。

 しかし、次の授業の担当の先生は、わたしが教科書を机に出していなくても咎めるような言動を口にしなかった。

 わたしにとっては、面倒事が増えなくて助かったけれど、霧島たちにとっては面白くもない展開なのかもしれない。

 おそらく、あいつらの息のかかったクラスメイトはいるだろう。わたしが狼狽えているところを聞いて、楽しもうとしているに違いない。

 でもお生憎様。わたしはこんなことで動揺するほど、心が小さい人間ではない。

 もし、本当に報告をしなければいけない子がいるとしたら、ちょっと不憫ではあるけれど。