わたしは、放心状態のまま、ベッドに潜って、顔を埋める。

 久瑠実さんは、わたしの様子がおかしいことに、気づいている。

 それなのに、無理に問い詰めることはなく、わたしを見守ってくれている。

 その優しさが、わたしにとっては、毒にしかならないはずなんだ。


 だって、わたしは家族なんて、大嫌いだから。

 温もりも、愛も、団欒も、全部ぜんぶ、嫌いなはずなのに……。


 心のどこかで、それを求めてしまっている自分がいる。

 あの日、わたしが家を出ていくときに捨てると決めてしまったものを、わたしは、求めてしまっている。


 ああ、わたしはなんて、弱い人間なんだろう。

 こんなのだから、いつまで経っても、一人で生きていけないのだ。


「……勘弁してよ、もう」

 ……止めよう、深く考えるのは。

 わたしは、瞼をゆっくり閉じて、逃げるように自分の世界へと落ちていった。