「ねぇ、遠野さん。なんかあの先輩たち、君に用があるみたいだけど……」
月曜日、智子との昼食を終えたわたしは、次の授業の準備をしているところに男子生徒からそんな風に声を掛けられた。
ちなみに、智子は委員長としての仕事のため、職員室に用事があるみたいで、今は教室にいない。
男子生徒に「誰よ、あんた?」と問い返そうかと思ったが、なんとなく見たことがある顔だったので、多分クラスメイトなのだろう。相変わらず、名前は全然覚えていないけれど。
えっと、それで、その子がなんて言ったんだっけ? 先輩がどうとか言ったような……。
「ほら、廊下で待っている人たち」
わたしがピンと来ていないのが伝わったのか、廊下を指さすジェスチャーをする。
そして、その先には目つきが鋭い二人組の女子生徒がいた。
わたしよりも背が高く、明らかに校則違反だと思われる制服の着こなしをしていて、はっきり言ってあまり関わりたくない感じの人たちだった。
だけど、この距離からでもその二人組の女子生徒が、ずっとわたしに鋭い視線を送っていることが伝わってきた。