そんな経緯があり、結果、ほとんどわたしは何もせずに、あの家から出て行くことになったのだ。
――それなのに、ようやく家を飛び出してきた結果が、この有様だ。
やはり、わたしを迎えにくる人間など、この世には存在しないらしい。
いやいや、何を他人に罪をなすりつけるような発言をしているのだ?
誰かを信じた、わたしが悪いに決まってる。
よし、あと10分待ってこなかったら、このまま海外に高飛びしよう。
パスポートも持っていないわたしが、そんな突拍子もないことを考えたところで、人混みをかき分けてこちらに向かってくる人物が目に入った。