さて、部屋に一人残されたミリア。まさかの急展開。今までのことを整理しよう、と思った。
まず、このミリアという女性だが、恐らく年は十八。そういう設定だからだ。そしてあの婚約者であったこの国の第一王子であるエドモンドも同じ十八。その彼の隣にいたのが、聖女と呼ばれている女性のシャイナ。こちらも十八。
部屋の中をぐるぐると歩き回っているミリア。
やはりここは、ゲームの世界らしい。しかも「あなたとの秘め事」、通称「あなひめ」という乙女ゲーム、というとろこまでは気付いた。
ヒロインはもちろん聖女シャイナ。ミリアは彼女のライバル役である悪役令嬢。どうやら自分はそのミリアらしい。
なぜミリアがそんなことに気付いたのか。それはミリアの中の人物が、そのゲームをプレイしていたプレイヤーだからだ。その記憶が蘇ったのは、見事にエドモンドに婚約解消の文言を突き付けられたとき。
ゲームのプレイヤーとしての記憶と、ミリアとしてこの世界に生を受けてからの十八年間の記憶が螺旋のように混ざり合って、そして走馬灯のように一気に脳内を駆け巡った。
(っていうか、私、あっちの世界で死んじゃったのか。つまり、これは夢ってことでいいよね)
と、プレイヤーとしての自分を思い出す。
プレイヤーとして生きていた頃、見事に社畜化していた。唯一の息抜きがこのゲームをプレイすること。乙女ゲームというだけあって、登場する人物が眉目秀麗。しかも、ビジュアルに力を入れている制作会社が作ったことだけあり、グフィックも奇麗。プレイしなくても、オープニングだけでもいろいろと癒されるこのゲーム。
ところが社畜化していたプレイヤー時代、見事に過労で息を引き取った。朝、目覚めずにそのまま。
(って、やっぱり、死んでるし)
と、死因を思い出したプレイヤーとしての一生。そして元々面倒くさいことは嫌い、なるようになる、楽観的という性格の持ち主であるため、これを死の間際に見ている夢の世界である、と認識したようだ。
(夢の世界なら、いっそのこと好きなことをしたほうがいいんじゃないかな。しかも夢をみている世界があの「あなひめ」だなんて。本当に夢のようじゃん)
ここで今後のこのゲームの展開を思い出す。何しろ、生きる糧としてプレイしてきたこのゲーム。内容を忘れているわけもなく。
悪役令嬢役であるミリアがエドモンドから婚約解消を告げられる選択肢は、ヒロインがエドモンドを攻略するルートのはずなのだが。
いや、待てよ、とミリアは思う。あのエドモンド、ミリアに向かって「処刑」という言葉を使った。
ミリアの処刑モードは、ヒロインの逆ハールートじゃないか。
どうしよう、と思ってミリアはソファにどさりと座った。その背もたれに大きく寄り掛かって、天井を仰ぐ。
まさかの逆ハールート。美味しすぎる。これから、あんなことやこんなことが起きるわけで。
(絶対に見たい。何度でも見たい。むしろそれ見て死ねるなら本望。シャイナ可愛すぎ。あの逆ハーがあの世に行く前にお目にかかれるなら、何度死んでもいい)
実はミリアの中のプレイヤーは、完全にヒロイン推しだった。貧しい家に生まれたヒロインは聖女としての力を見いだされ、一人王都へとやって来る。様々な逆風にも負けず、聖女としての力を身に着けるために努力をし、そして相手を攻略していく。
メインの攻略者はもちろんこの国の第一王子であるエドモンド。彼には婚約者がいるが、その婚約者から奪い取るのだ。だって、その婚約者。シャイナにいじわるするんだもん。許すまじ、って、自分じゃんということに気付くミリア。
まず、このミリアという女性だが、恐らく年は十八。そういう設定だからだ。そしてあの婚約者であったこの国の第一王子であるエドモンドも同じ十八。その彼の隣にいたのが、聖女と呼ばれている女性のシャイナ。こちらも十八。
部屋の中をぐるぐると歩き回っているミリア。
やはりここは、ゲームの世界らしい。しかも「あなたとの秘め事」、通称「あなひめ」という乙女ゲーム、というとろこまでは気付いた。
ヒロインはもちろん聖女シャイナ。ミリアは彼女のライバル役である悪役令嬢。どうやら自分はそのミリアらしい。
なぜミリアがそんなことに気付いたのか。それはミリアの中の人物が、そのゲームをプレイしていたプレイヤーだからだ。その記憶が蘇ったのは、見事にエドモンドに婚約解消の文言を突き付けられたとき。
ゲームのプレイヤーとしての記憶と、ミリアとしてこの世界に生を受けてからの十八年間の記憶が螺旋のように混ざり合って、そして走馬灯のように一気に脳内を駆け巡った。
(っていうか、私、あっちの世界で死んじゃったのか。つまり、これは夢ってことでいいよね)
と、プレイヤーとしての自分を思い出す。
プレイヤーとして生きていた頃、見事に社畜化していた。唯一の息抜きがこのゲームをプレイすること。乙女ゲームというだけあって、登場する人物が眉目秀麗。しかも、ビジュアルに力を入れている制作会社が作ったことだけあり、グフィックも奇麗。プレイしなくても、オープニングだけでもいろいろと癒されるこのゲーム。
ところが社畜化していたプレイヤー時代、見事に過労で息を引き取った。朝、目覚めずにそのまま。
(って、やっぱり、死んでるし)
と、死因を思い出したプレイヤーとしての一生。そして元々面倒くさいことは嫌い、なるようになる、楽観的という性格の持ち主であるため、これを死の間際に見ている夢の世界である、と認識したようだ。
(夢の世界なら、いっそのこと好きなことをしたほうがいいんじゃないかな。しかも夢をみている世界があの「あなひめ」だなんて。本当に夢のようじゃん)
ここで今後のこのゲームの展開を思い出す。何しろ、生きる糧としてプレイしてきたこのゲーム。内容を忘れているわけもなく。
悪役令嬢役であるミリアがエドモンドから婚約解消を告げられる選択肢は、ヒロインがエドモンドを攻略するルートのはずなのだが。
いや、待てよ、とミリアは思う。あのエドモンド、ミリアに向かって「処刑」という言葉を使った。
ミリアの処刑モードは、ヒロインの逆ハールートじゃないか。
どうしよう、と思ってミリアはソファにどさりと座った。その背もたれに大きく寄り掛かって、天井を仰ぐ。
まさかの逆ハールート。美味しすぎる。これから、あんなことやこんなことが起きるわけで。
(絶対に見たい。何度でも見たい。むしろそれ見て死ねるなら本望。シャイナ可愛すぎ。あの逆ハーがあの世に行く前にお目にかかれるなら、何度死んでもいい)
実はミリアの中のプレイヤーは、完全にヒロイン推しだった。貧しい家に生まれたヒロインは聖女としての力を見いだされ、一人王都へとやって来る。様々な逆風にも負けず、聖女としての力を身に着けるために努力をし、そして相手を攻略していく。
メインの攻略者はもちろんこの国の第一王子であるエドモンド。彼には婚約者がいるが、その婚約者から奪い取るのだ。だって、その婚約者。シャイナにいじわるするんだもん。許すまじ、って、自分じゃんということに気付くミリア。