とうとうやってきた、メインイベント。ミリアの処刑の日だ。ミリアの罪は聖女シャイナに毒を盛り、聖女を殺害しようとしたこと、とされている。
のわりには、この処刑の日までわりと自由にさせてもらえた。それもこれもアドニスのおかげだろう。
「覚悟はできているのか?」
エドモンドが不敵な笑みを浮かべ、ミリアの前に立った。ミリアは両手を背中で縛られ、膝をつき、彼の近衛騎士にその剣を向けられているところ。もしかして、もしかしなくても、この剣でスパッとやられてしまうのだろうか。
しかも心残りは例のタブレット。今朝、目が覚めたらあれが消えていた。夢の中なのに、最後に夢は叶わないのか、というやるせない思い。
「お待ちください、エド様」
女性の声ではあるが、ミリアの声ではない。だが、聞き慣れたその声。ミリアが愛してやまないその声。
シャイナだ。
「エド様。その、ミリアのことですが……」
「兄さん。その女に騙されてはなりませんよ」
とここで現れたのはアドニス。思わずミリアは目を見開いた。なぜなら彼の手の中に、あのチートアイテムのタブレットがあるからだ。
「その聖女シャイナは、こうやって他の男をたぶらかしていたんですよ」
なぜか慣れた手つきで、そのタブレットを操作するアドニス。
ちょっと待って、とミリアの顔から血の気が引く。
アドニスはミリアがコレクションとして集めていたシャイナと攻略対象者たちの写真を、次から次へと表示をさせては、エドモンドへと見せつけている。エドモンドの顔色も血の気が引いたように変わっていくが、その変わりようはミリアの方が酷いと思う。
タブレットを返して、という思いと、その写真をエドモンドに見せないで、という思いと。
「これは、なんだ。アドニス」
「どうやら、魔導具のようですね。こうやって過去の映像を記録してくれるようですよ」
そこでアドニスはジロリとシャイナを睨んだ。
魔導具、なのか? というのがミリアの心の声。
「アドニス様、それは……」
シャイナは何か言いたそうに口を開いたが、次の言葉が出てこない。
「言い訳もできないか、シャイナ嬢」
なぜかアドニスが勝ち誇ったような笑みを浮かべている。
「おやめください、アドニス様」
そこで声をあげたのはミリアだった。先ほどと同じように手は後ろで縛られ、膝をついたままで。
「シャイナはそのようなふしだらな女性ではありません。彼女は、聖女として、そう聖女として、悩んでいた彼らに正しい道を導いてあげただけなのです」
「それで。こうやって他の異性と熱い抱擁を交わすのか?」
「そ、それは。恐らく、友達としての、抱擁……?」
ミリアも自信なく答える。
「そ、そうです。友達としての抱擁です。ですから、エド様。ミリアを解放してください」
「シャイナ。お前は何を言っているのだ?」
シャイナにそのようなことを言われて驚くのはエドモンド。
「ミリアは私の友達です。ですから、解放してください」
「シャイナ嬢、自分の立場が危うくなったからといって、ミリアの解放を要求ですか?」
そこでアドニスが口を挟むものだから、少々ややこしくなる。
「違います」
シャイナは声を荒げる。
「そもそも、なぜミリアは捕らわれているのですか?」
のわりには、この処刑の日までわりと自由にさせてもらえた。それもこれもアドニスのおかげだろう。
「覚悟はできているのか?」
エドモンドが不敵な笑みを浮かべ、ミリアの前に立った。ミリアは両手を背中で縛られ、膝をつき、彼の近衛騎士にその剣を向けられているところ。もしかして、もしかしなくても、この剣でスパッとやられてしまうのだろうか。
しかも心残りは例のタブレット。今朝、目が覚めたらあれが消えていた。夢の中なのに、最後に夢は叶わないのか、というやるせない思い。
「お待ちください、エド様」
女性の声ではあるが、ミリアの声ではない。だが、聞き慣れたその声。ミリアが愛してやまないその声。
シャイナだ。
「エド様。その、ミリアのことですが……」
「兄さん。その女に騙されてはなりませんよ」
とここで現れたのはアドニス。思わずミリアは目を見開いた。なぜなら彼の手の中に、あのチートアイテムのタブレットがあるからだ。
「その聖女シャイナは、こうやって他の男をたぶらかしていたんですよ」
なぜか慣れた手つきで、そのタブレットを操作するアドニス。
ちょっと待って、とミリアの顔から血の気が引く。
アドニスはミリアがコレクションとして集めていたシャイナと攻略対象者たちの写真を、次から次へと表示をさせては、エドモンドへと見せつけている。エドモンドの顔色も血の気が引いたように変わっていくが、その変わりようはミリアの方が酷いと思う。
タブレットを返して、という思いと、その写真をエドモンドに見せないで、という思いと。
「これは、なんだ。アドニス」
「どうやら、魔導具のようですね。こうやって過去の映像を記録してくれるようですよ」
そこでアドニスはジロリとシャイナを睨んだ。
魔導具、なのか? というのがミリアの心の声。
「アドニス様、それは……」
シャイナは何か言いたそうに口を開いたが、次の言葉が出てこない。
「言い訳もできないか、シャイナ嬢」
なぜかアドニスが勝ち誇ったような笑みを浮かべている。
「おやめください、アドニス様」
そこで声をあげたのはミリアだった。先ほどと同じように手は後ろで縛られ、膝をついたままで。
「シャイナはそのようなふしだらな女性ではありません。彼女は、聖女として、そう聖女として、悩んでいた彼らに正しい道を導いてあげただけなのです」
「それで。こうやって他の異性と熱い抱擁を交わすのか?」
「そ、それは。恐らく、友達としての、抱擁……?」
ミリアも自信なく答える。
「そ、そうです。友達としての抱擁です。ですから、エド様。ミリアを解放してください」
「シャイナ。お前は何を言っているのだ?」
シャイナにそのようなことを言われて驚くのはエドモンド。
「ミリアは私の友達です。ですから、解放してください」
「シャイナ嬢、自分の立場が危うくなったからといって、ミリアの解放を要求ですか?」
そこでアドニスが口を挟むものだから、少々ややこしくなる。
「違います」
シャイナは声を荒げる。
「そもそも、なぜミリアは捕らわれているのですか?」