「それは、なんだ?」
アドニスの低い声が腹に響く。怒っているわけではない。ただ純粋にそれはなんだ、と聞いているだけ。
ミリアは急いでそのタブレットの電源を切ると。
「ええと、ただの板です」
というわけのわからない言い訳をした。そしてそっと、それをアドニスに差し出す。ここで変に隠してしまった方が逃げられないだろう、と思ったからだ。
それを受け取ったアドニスは、そのタブレットを下から上から斜めから見て、くるくると回転させてみたけれど、本当にただの板であったため。
「なるほど。ありがとう」
と言って、ミリアに返した。ミリアの作戦勝ち。と同時に、左頬に触れられた。
「赤くなっている。すぐに手当てをしよう」
アドニスに左腕を引っ張られ、ミリアはその場を後にするしかなかった。あの二人のその後が気になるところだけれど、必要なものは手に入れたので心残りは無い。アドニスに連れられて、部屋へと戻った。
彼は何も言わず、ミリアの赤くなった頬にタオルを押し当てていた。
その手当を受けていたミリアは、あと一人、と心の中で呟いた。
そのあと一人がこの学園長の息子であるミゲルだ。攻略場所は図書館だったはず。
ミリアの一日というのは、起きて、三度の食事をして、寝る、という何もしない時間の連続。その何もしない時間の過ごし方は、基本的にはチートアイテムのタブレットを触って、ムフフとするくらい。ときどきアドニスがやってきて、ミリアを散歩に誘うという、それだけ。
このタブレットのチートなところの一つは充電いらずということだろう。そもそも充電器が存在していない。むしろこの世界に電気は無い。あるのは魔力。魔力が電気みたいなものだけれど、さすがにWi-Fiとかそれっぽいものは無い。電波も無い。ラジオも無い。テレビも無い。つまり、娯楽が無い。
となるとやはりこのタブレットに頼るようになるわけで。それに飽きると本を読む、という感じだ。
アドニスの低い声が腹に響く。怒っているわけではない。ただ純粋にそれはなんだ、と聞いているだけ。
ミリアは急いでそのタブレットの電源を切ると。
「ええと、ただの板です」
というわけのわからない言い訳をした。そしてそっと、それをアドニスに差し出す。ここで変に隠してしまった方が逃げられないだろう、と思ったからだ。
それを受け取ったアドニスは、そのタブレットを下から上から斜めから見て、くるくると回転させてみたけれど、本当にただの板であったため。
「なるほど。ありがとう」
と言って、ミリアに返した。ミリアの作戦勝ち。と同時に、左頬に触れられた。
「赤くなっている。すぐに手当てをしよう」
アドニスに左腕を引っ張られ、ミリアはその場を後にするしかなかった。あの二人のその後が気になるところだけれど、必要なものは手に入れたので心残りは無い。アドニスに連れられて、部屋へと戻った。
彼は何も言わず、ミリアの赤くなった頬にタオルを押し当てていた。
その手当を受けていたミリアは、あと一人、と心の中で呟いた。
そのあと一人がこの学園長の息子であるミゲルだ。攻略場所は図書館だったはず。
ミリアの一日というのは、起きて、三度の食事をして、寝る、という何もしない時間の連続。その何もしない時間の過ごし方は、基本的にはチートアイテムのタブレットを触って、ムフフとするくらい。ときどきアドニスがやってきて、ミリアを散歩に誘うという、それだけ。
このタブレットのチートなところの一つは充電いらずということだろう。そもそも充電器が存在していない。むしろこの世界に電気は無い。あるのは魔力。魔力が電気みたいなものだけれど、さすがにWi-Fiとかそれっぽいものは無い。電波も無い。ラジオも無い。テレビも無い。つまり、娯楽が無い。
となるとやはりこのタブレットに頼るようになるわけで。それに飽きると本を読む、という感じだ。