私は、ゆっくりとうなずいた。坂木くんはいつもと同じトーンで話しているけれど、入院中にたくさん大変なこと、考えたことがあったのだろう。
「だからさ、留年直後、みんなとちょっと距離感がある感じはしたんだけど、めちゃくちゃ話しかけて、自分を知ってもらったんだ。そしたらさ、案外すんなり仲よくなったんだよね。仲よくなったら、一個くらいの年齢差とかどうでもよくなるんだ。で、やっぱりすげー楽しくて」
 すごいな、坂木くん。前向きだし、行動的だし、傷付くことを恐れてない。やっぱり私と全然違う。
「坂木くんが、友達が多いのも、友達を作るのが上手なのも、なんかわかる」
 私は、尊敬の気持ちをこめて言った。すると、坂木くんは頭をかいて笑う。
「暑苦しいだろうけど、生きてるうちに、ひとりでも多くの人と出会って仲よくなりたいんだよね」
「どんな人とでも?」
「うん。世の中で本当に悪い人なんてひとにぎりだろうし、どんなヤツも話してみればいいところあるし」
「……うん」