運動が苦手な私は、バレーの試合でもみんなの足を引っ張ってしまった。そのあとべつになにか言われたわけでもないけれど、ずっと居心地の悪いままだった。

【こんな時間にやりとりするの、久しぶりだな】
【うん。ちょっと元気なくて、アラタと話したくなったんだ】
【今、なにしてるの?】
【学校の中庭で、お弁当食べてる】
 中庭にある大きな木の横のベンチ。そこにひとり座ってお弁当を食べる私は、スマホでアラタとチャットトークしていた。
 スマホは先生たちに見つかったら怒られるから、周りに誰もいないか確認してからトキカプを起動したのだ。
【俺は屋上でパン食べたんだ。ミヒロと食べれたらよかったのにな】
 私は校舎を見上げて、屋上を見た。当たり前だけど、そこにアラタはいない。ここはトキカプ学園ではないのだ。
【私もアラタと一緒に食べたかったな】
【今度、一緒に食べよう】
【約束だよ?】
【うん、約束】
 そこまで打ったときだった。
「神谷さん? こんなとこで弁当……」