記憶の奥から、何人かの声が聞こえる。べつに今、私がなにかやらかしたわけでも注目されているわけでもないのに、周囲のざわめきがこちらに向けられているかのように思えて、冷や汗が出る。
「クドウ、クマザワ……」
男の先生が名前を呼び、返事をした生徒を縦に並べている。男女混合の五十音の名前順 だ。そして、
「紺野(こんの)」
と呼ばれ、私も小声で「……はい」と返事をして先生の近くへ寄った。
「紺野? 紺野美尋ー?」
「は、はいっ」
聞こえなかったのだろう、先生は襟足をかきながら鼻を鳴らす。
「ちゃんと聞いとくんだぞ? はい、次、坂木(さかき)」
クスクスとどこかからか小さな笑い声が聞こえ、私はうつむいた。
あぁ、嫌だな、こういうの。自分だけ、はみだし者みたいだ。周りのみんなは、近くの人にすぐ話しかけたり話しかけられたりして、仲よくなっている。でも、私はひとり。勇気もないし、話しかけてもらえるようなキャラでもないし、今後の高校生活三年間が目に浮かぶようだ。
「大丈夫?」
けれど、次の瞬間、すぐ近くから声が聞こえた。
「顔色悪いけど、もしかして具合悪いとか?」
「クドウ、クマザワ……」
男の先生が名前を呼び、返事をした生徒を縦に並べている。男女混合の五十音の名前順 だ。そして、
「紺野(こんの)」
と呼ばれ、私も小声で「……はい」と返事をして先生の近くへ寄った。
「紺野? 紺野美尋ー?」
「は、はいっ」
聞こえなかったのだろう、先生は襟足をかきながら鼻を鳴らす。
「ちゃんと聞いとくんだぞ? はい、次、坂木(さかき)」
クスクスとどこかからか小さな笑い声が聞こえ、私はうつむいた。
あぁ、嫌だな、こういうの。自分だけ、はみだし者みたいだ。周りのみんなは、近くの人にすぐ話しかけたり話しかけられたりして、仲よくなっている。でも、私はひとり。勇気もないし、話しかけてもらえるようなキャラでもないし、今後の高校生活三年間が目に浮かぶようだ。
「大丈夫?」
けれど、次の瞬間、すぐ近くから声が聞こえた。
「顔色悪いけど、もしかして具合悪いとか?」