「さっき神谷にもお礼言われたけど、あれ本当に偶然通りかかっただけだし、実際先輩と知り合いだったわけだから、違うだろ」
「でも、仲がよかったわけじゃないんでしょ?」
「うん、たしかに俺、あの先輩苦手。顔はすっごくいいけど、自己中で超ヤベーもん」
坂木くんがそう言ったから、私は真顔だったのに、「ふふ」って笑ってしまった。
もしかしたら、昼に神谷さんが笑ったのも同じかもしれない。自分とまったく同じことを思っていたから、おかしくなってしまったんだろう。
すると、坂木くんはカウンターに肘をついて、前のめりに私を覗きこんできた。顔がゆるんでいた私は、頬に指をあてて顎を引く。
「な……なに?」
「昨日もリハビリ順調って話をしたけど、紺野、本当に日に日によく笑ったりしゃべったり、自分を出せるようになってきてるよな」
感心したようにそんなことを言われ、照れくさくなった私は「そうかな?」なんて言って前髪を無駄に整えた。坂木くんは、微笑んだままうなずいている。
たしかに、自分でもそれは感じている。けれど、アラタに似ている坂木くんの前でだけだ。
「……ここでだけなんだけどね」
「でも、仲がよかったわけじゃないんでしょ?」
「うん、たしかに俺、あの先輩苦手。顔はすっごくいいけど、自己中で超ヤベーもん」
坂木くんがそう言ったから、私は真顔だったのに、「ふふ」って笑ってしまった。
もしかしたら、昼に神谷さんが笑ったのも同じかもしれない。自分とまったく同じことを思っていたから、おかしくなってしまったんだろう。
すると、坂木くんはカウンターに肘をついて、前のめりに私を覗きこんできた。顔がゆるんでいた私は、頬に指をあてて顎を引く。
「な……なに?」
「昨日もリハビリ順調って話をしたけど、紺野、本当に日に日によく笑ったりしゃべったり、自分を出せるようになってきてるよな」
感心したようにそんなことを言われ、照れくさくなった私は「そうかな?」なんて言って前髪を無駄に整えた。坂木くんは、微笑んだままうなずいている。
たしかに、自分でもそれは感じている。けれど、アラタに似ている坂木くんの前でだけだ。
「……ここでだけなんだけどね」



