その話が出ると、先輩は握ったままだった神谷さんの手をパッと離した。神谷さんは先輩を睨むように見て、解放された手をもう片方の手でさする。
「すっごく幸せそうな顔してましたよ。同じ中学の先輩同士がくっついて、俺もなんか嬉しいです」
「あー……うん。どうもな」
その後、どんな話をしたんだ?とか、中学のときの思い出話などが始まったので、私と神谷さんはその場を退散した。先輩も坂木くんもこちらをちらりと見たけれど、なにも言わなかった。
渡り廊下から校舎に入って階段のところまでくると、もう先輩たちは見えなくなっていた。私は神谷さんの赤くなった手首を見て、声をかける。
「手……だ、大丈夫?」
そう言う私の手も、実はまだ震えていた。自分がああいう場に踏みこんだということが、いまだに信じられない。坂木くんが偶然来たからよかったものの、あのままだったらきっと気圧されておしまいだったかもしれない。
「大丈夫」
そう返した神谷さんの態度は、少し冷たい感じがした。あの先輩の自己中ぶりに、不機嫌になってしまったのだろうか。
「でも、これからはこういうことがあっても、無視して」
「え……?」
「すっごく幸せそうな顔してましたよ。同じ中学の先輩同士がくっついて、俺もなんか嬉しいです」
「あー……うん。どうもな」
その後、どんな話をしたんだ?とか、中学のときの思い出話などが始まったので、私と神谷さんはその場を退散した。先輩も坂木くんもこちらをちらりと見たけれど、なにも言わなかった。
渡り廊下から校舎に入って階段のところまでくると、もう先輩たちは見えなくなっていた。私は神谷さんの赤くなった手首を見て、声をかける。
「手……だ、大丈夫?」
そう言う私の手も、実はまだ震えていた。自分がああいう場に踏みこんだということが、いまだに信じられない。坂木くんが偶然来たからよかったものの、あのままだったらきっと気圧されておしまいだったかもしれない。
「大丈夫」
そう返した神谷さんの態度は、少し冷たい感じがした。あの先輩の自己中ぶりに、不機嫌になってしまったのだろうか。
「でも、これからはこういうことがあっても、無視して」
「え……?」



