あきれ果てた神谷さんが、先輩を無視して踵を返そうとしたときだった。
「ねぇ、その冷たさ、計算? 逆に燃えるんだけど」
得意げにそう言った先輩が神谷さんの手首をつかんで、自分のほうへぐいっと引っ張る。
「やっ!」
痛そうに顔を歪めた神谷さん。それを見て、私は思わず駆け寄り、
「あっ――」
と、手を伸ばしてしまった。
「え? なに、キミ」
見切り発車で飛び出してしまった私は、先輩に冷ややかな視線を浴びせられ、足がすくむ。神谷さんは、ぎょっとした顔で私を見ていた。
「あ……その……」
怖い。普通の人間と話すのもひと苦労なのに、こんな体の大きい先輩なんてもっとだ。大田くんも大きいけれど、こんなふうに威圧はしてこないし。
「用ないなら、邪魔しないでよ。ふたりで話をしてんだからさ」
先輩は、にこっと笑ってそう言った。まるでアイドルみたいな顔面偏差値だけれど、言動がアウトだから怖さ倍増だ。
私は、握ったこぶしをぎゅっと固めて、震える口を開く。
「か……神谷さんは、ほ、本当に広報委員の仕事があって……」
「は?」
「が、頑張ってるんです……放課後……ちゃ、ちゃんと……」
「ねぇ、その冷たさ、計算? 逆に燃えるんだけど」
得意げにそう言った先輩が神谷さんの手首をつかんで、自分のほうへぐいっと引っ張る。
「やっ!」
痛そうに顔を歪めた神谷さん。それを見て、私は思わず駆け寄り、
「あっ――」
と、手を伸ばしてしまった。
「え? なに、キミ」
見切り発車で飛び出してしまった私は、先輩に冷ややかな視線を浴びせられ、足がすくむ。神谷さんは、ぎょっとした顔で私を見ていた。
「あ……その……」
怖い。普通の人間と話すのもひと苦労なのに、こんな体の大きい先輩なんてもっとだ。大田くんも大きいけれど、こんなふうに威圧はしてこないし。
「用ないなら、邪魔しないでよ。ふたりで話をしてんだからさ」
先輩は、にこっと笑ってそう言った。まるでアイドルみたいな顔面偏差値だけれど、言動がアウトだから怖さ倍増だ。
私は、握ったこぶしをぎゅっと固めて、震える口を開く。
「か……神谷さんは、ほ、本当に広報委員の仕事があって……」
「は?」
「が、頑張ってるんです……放課後……ちゃ、ちゃんと……」



