【誕生日限定スペシャルストーリー】だの、【本日限定ガチャ・バースデーカプセル】だの、【アラタからの留守電通知(本日限定)】だの、限定のオンパレードだ。私は、ほくほくした気持ちで、そのすべてをやり遂げた。
 あれ? でも、なにか重要なことを忘れているような……。
「……あ」
 そうだ。アラタと坂木くんの誕生日が一緒だったんだ。
 思い出した私は、バースデーケーキをひと口こちらへアーンとしているアラタの写真を見ながら、冷静な顔になる。
 偶然? それとも……。
「いや、だから、偶然じゃなかったらなんだっていうの?」
 無理に笑顔を作った私は、乾いた笑い声を出す。
 下の名前が一緒だとか、誕生日が同じとか、まぁ、なくはないことだ。現実でだって、たまたま身近にそんな人がいることもあるし。ただ似てるっていうそれだけで、変に結びつけたがるなんて、私はどれだけゲーム脳なんだ。
 私は、ピーチティーをもうひと口飲んで、ふん、と鼻を鳴らした。そして、窓の外の薄暗い空を見て、誕生日を祝っているであろう坂木くんを想像する。
 ……今頃、ケーキを食べてるのかな。