「ホントだ！」
　次の瞬間、アハハ、と坂木くんが弾けるように笑った。大田くんは眉間にシワを寄せて顎をさすり、神谷さんは「ふ」と短く微笑んでいる。
　私のひと言で空気が動いた一瞬に、体の表面が少しビリビリしたような気がした。貸し出しというちょっとしたことでてんやわんやしたことも、どこか四人で共同作業をしたような感じになったことも、初めてだ。なんだろう、ソワソワして、居心地がいいのか悪いのかわからない。
「あ、オセロ」
　そのとき、背の高い大田くんが私と坂木くんの間を見て、ぼそりと言った。私たちは顔を見合わせ、「ハハ」と笑って誤魔化したのだった。

　家に帰り着いた 私は、自分の部屋に入って勉強机に腰かける。なんだか今日はいろんなことがあって、頭も心もパンパンだ。いつもよりたくさんしゃべった気がして、喉も渇いた。
　冷蔵庫から持ってきたピーチティーのペットボトルを開けた私は、一気に半分飲んで深呼吸をする。
　そういえば……。
『実は俺、紺野たちより学年が一個上なんだよね』