「すみません。広報委員会が新聞作りで写真を撮りたいみたいなので、貸し出し風景を撮らせてもらってもいいですか? 顔出しNGだったら、うしろ姿でもいいんで」
 女子生徒は、「うしろからなら……」としぶしぶOKしてくれた。
 坂木くんに交渉を任せた大田くんと神谷さんを見ると、すでにスタンバイしている。私と坂木くんは、委員会で説明を受けたように初貸し出し業務に挑む。
「紺野、こっちのほうだよね? バーコード」
「う、うん、たぶん」
「わ、レシートみたいなの出た。すげぇ、ハイテク」
「返却期限が書いてあるんだ……便利」
 あたふたしながらも、なんとかできた。その間、カシャカシャと何枚もシャッター音が響き、ちょっと滑稽だったけれど。
 みんなでその眼鏡の女子生徒にお礼を言うと、向こうも小さくお辞儀をして図書室を出ていった。四人とも、ひと仕事終えたような心持ちで、ふう、と息をつく。
 あ、よく考えたら……。
「うしろ姿でOKだったんなら、この中の誰かが借りる人を演じればよかったんじゃ……」
 そうつぶやいてしまうと、三人がいっせいに私を見た。信じられない、とでも言うように、全員目を見開いている。