そんな会話をしながら神谷さんにも声をかける坂木くん。三人で図書室へ向かおうとしているようだ。そして、もう一度私のほうを見たから、途中まで一緒に、と声をかけられる前に小走りでトイレへと向かった。
あんな輝かしい三人と一緒に廊下を歩いたら、またなにか言われるに決まっている。あの人たちはすぐに名前を覚えてもらえる人種だけれど、私はきっと半年以上は“坂木っちの前の人”なのだ。そんな黒子的存在が彼らの金魚の糞をしていたら、出しゃばるなって言われるに決まっている。出る杭は打たれるんだ。
内容はどうであれ、中三のときのようにみんなの視線を集めるようなことは避けたい。注目されて白い目で見られるくらいなら、存在を消していたい。この一週間の当番を乗りきり、そして席替えさえあれば、きっと平穏な日々が送れるはずなんだから。
三分遅れくらいで図書室に着いた私は、なかに入ってホッとした。たくさんの視線から逃れた世界、そして平和そうにニコニコと手を上げてくれる坂木くんに、戦場から実家に帰り着いた 兵士のような気持ちになる。
「今日も人が全然いないみたい」
あんな輝かしい三人と一緒に廊下を歩いたら、またなにか言われるに決まっている。あの人たちはすぐに名前を覚えてもらえる人種だけれど、私はきっと半年以上は“坂木っちの前の人”なのだ。そんな黒子的存在が彼らの金魚の糞をしていたら、出しゃばるなって言われるに決まっている。出る杭は打たれるんだ。
内容はどうであれ、中三のときのようにみんなの視線を集めるようなことは避けたい。注目されて白い目で見られるくらいなら、存在を消していたい。この一週間の当番を乗りきり、そして席替えさえあれば、きっと平穏な日々が送れるはずなんだから。
三分遅れくらいで図書室に着いた私は、なかに入ってホッとした。たくさんの視線から逃れた世界、そして平和そうにニコニコと手を上げてくれる坂木くんに、戦場から実家に帰り着いた 兵士のような気持ちになる。
「今日も人が全然いないみたい」