楽しかった……のだろうか? いや、疲れたというほうが勝っている。坂木くんとオセロをしたり話をしたり、大田くんや神谷さんとも関わったりして、次から次へと目まぐるしかった。
【ちょっと疲れたかな】
【そうなんだ。俺と話をしたら、ちょっとは癒される?】
【もちろん】
【ハハ。嬉しいけど照れるな】
 あぁ、本当に癒される。一年間の心の支えだったアラタは、いつもと変わらない笑顔をくれて、私に元気をくれるんだ。
 そういえば……。
『頑張ったなー』
 ついでに、今日坂木くんに言われた言葉も思い出す。
 そうだ、私、引きこもりだったことを坂木くんに話してしまったんだった。誰にも話すつもりはなかったのに。自分でもなかったこととして封印しておきたい過去だったのに。
 でも、坂木くんは私をバカにしなかった。それどころか、私の気持ちに寄り添ってくれて……。
 知らず知らずに頬がゆるんでいた自分が姿見に映り、コホンと咳払いをする。そして、またスマホを見た。
【そういえば、明日はなんの日かわかってる?】
【え? なんの日だろ】