坂木くんが小声でそう言って、ニッと笑った。私も共犯者みたいな気持ちになって、うんうん、と小刻みにうなずいた。
五時半になり、私と坂木くんは戸締りを始めた。結局、この時間に図書室に来たのは大田くんと神谷さんだけ。私と坂木くんは三回もオセロをし、私は全敗だった。
大田くんたちは図書室が五時半までだということを知らないのか、まだ自習スペースで座っていた。近くの窓の鍵を閉めた私は、緊張しながらも声をかける。
「あ……あの……もう閉める時間なので」
そう言うと、神谷さんだけがこちらを向き、不服そうな顔を見せた。
「この人、すぐ寝たの」
なるほど、頬杖をついてなにやら熟考しているかと思っていた大田くんは、寝息を立てていた。新聞レイアウトを考えていたのだろうルーズリーフは、“見出し”と書かれているだけで、ほぼ白紙だ。
「だから、私は宿題をしてた」
「そ、そう……なんだ」
にこりとも笑わない神谷さんに、私は「ハハ」と愛想笑いをした。
「私が起こしても起きなかったから、紺野さん起こしてもらえる?」
「へ?」
「大田くんのこと」
神谷さんは、大田くんを指差す。
五時半になり、私と坂木くんは戸締りを始めた。結局、この時間に図書室に来たのは大田くんと神谷さんだけ。私と坂木くんは三回もオセロをし、私は全敗だった。
大田くんたちは図書室が五時半までだということを知らないのか、まだ自習スペースで座っていた。近くの窓の鍵を閉めた私は、緊張しながらも声をかける。
「あ……あの……もう閉める時間なので」
そう言うと、神谷さんだけがこちらを向き、不服そうな顔を見せた。
「この人、すぐ寝たの」
なるほど、頬杖をついてなにやら熟考しているかと思っていた大田くんは、寝息を立てていた。新聞レイアウトを考えていたのだろうルーズリーフは、“見出し”と書かれているだけで、ほぼ白紙だ。
「だから、私は宿題をしてた」
「そ、そう……なんだ」
にこりとも笑わない神谷さんに、私は「ハハ」と愛想笑いをした。
「私が起こしても起きなかったから、紺野さん起こしてもらえる?」
「へ?」
「大田くんのこと」
神谷さんは、大田くんを指差す。