あ、しまった。“高校に慣れない”と言えばよかった。取り繕う言葉を探すけれど、いい説明が浮かばず、首のうしろを押さえる。
「あ……いや、そうじゃなくて……」
「そうじゃなくて?」
坂木くんは、ピュアな目で詰めてくる。
あとから思えば、中学は少人数だったとか、知らない人たちが苦手だとか、いくらでも誤魔化すことができた。だって、私にとって不登校だったという過去は、絶対に周りに知られたくないことだったから。心機一転の高校生活、これがバレて偏見を持たれたくないし、だからこそ引っ越してまで誰も知らない高校に入ったのだから。
「私……中三のとき、ほぼ一年間不登校だったから……」
けれど、坂木くんのまっすぐな視線に言い逃れができず、気付けば正直にそう口が動いていた。心のどこかで、坂木くんにだけなら言っても大丈夫だろうという確信があったのかもしれない。
「……あー……へぇ……」
坂木くんは、反応に困ったのだろう、間延びした相槌を打って、大きく二回うなずいた。
「あ……いや、そうじゃなくて……」
「そうじゃなくて?」
坂木くんは、ピュアな目で詰めてくる。
あとから思えば、中学は少人数だったとか、知らない人たちが苦手だとか、いくらでも誤魔化すことができた。だって、私にとって不登校だったという過去は、絶対に周りに知られたくないことだったから。心機一転の高校生活、これがバレて偏見を持たれたくないし、だからこそ引っ越してまで誰も知らない高校に入ったのだから。
「私……中三のとき、ほぼ一年間不登校だったから……」
けれど、坂木くんのまっすぐな視線に言い逃れができず、気付けば正直にそう口が動いていた。心のどこかで、坂木くんにだけなら言っても大丈夫だろうという確信があったのかもしれない。
「……あー……へぇ……」
坂木くんは、反応に困ったのだろう、間延びした相槌を打って、大きく二回うなずいた。



