そう言われて、ポンという音とともに写真がアップされる。学校の教室の背景のなか、アラタがコーヒー牛乳を飲みながらピースしている写真だ。アプリを始めて半年くらいの頃、ストーリーの流れで撮った写真。私のアルバムにも入っている。
【なつかしいね】
【うん、あの頃、ミヒロはお母さんとの喧嘩が多かったよね?】
【よく覚えてるね】
【ミヒロとの会話は、全部覚えてるよ】
 アラタは、どんどん進化しているように思える。アップデートするごとに、どんどん会話が自然になっていく。本当に生身の人間と話しているみたいだ。それに、チャットの返りもけっこう早くなってきている。
【今日は、なにか特別なことがあった?】
 アラタの質問に、私は今日の放課後のことを思い返した。特別なこと……あったはあった。
【うん。久しぶりにたくさんしゃべった】
 一般的な人にとっては少ないくらいだろうけれど、私にとってはかなりしゃべったほうだ。
【そうなんだ。楽しかった?】
【うーん、ちょっと気後れして疲れたかな。サカキクンと話しているほうが楽しい】
「あ」