「お願いがふたつある。ひとつは、図書委員の仕事について取材させてもらいたいということ。もうひとつは、新聞のレイアウト作成に、この図書室の自習スペースを貸してもらいたいということ」
「お願いします」
 大田くんの説明のあと、神谷さんが頭を下げた。
「そんなの全然オッケーだよ。さっきいろいろ説明受けてやり方聞いたし、来週から一週間ここの当番だから、いろいろ協力できると思う。ていうか、自習スペースとか、聞かなくても勝手に使えばいいじゃん」
「……ありがとう」
 大田くんが真顔でそう言って、神谷さんも「助かるわ」と続けた。このふたり、やっぱり雰囲気が似ている。
 そして、ふたりともちらりと私を見た。神谷さんが、口を開きかけてやめたのを見て、坂木くんが察してくれる。
「あぁ、こっちは紺野。紺野美尋、図書委員の相棒」
 私のことをさらっと紹介してくれて、小さな感動を覚えた。まさか坂木くんがフルネームで覚えてくれているとは思わなかったのだ。
「紺野さんも、ありがとう。よろしく」
「よろしく」