「あーらた! あ、ごめん話し中?」
そこへ、他のクラスの女子が来て、坂木くんの背中に両手をあてた。「うおっ」と驚きの声を上げた坂木くんは、彼女を見る。
「あぁ、スギムーか。びっくりした。どした?」
「なんかさ、りょうちんがさっそく現代文の教科書忘れたらしくてさ、新に借りてきてって。私、パシられてきたの」
「なんだそれ、本人が来いって言ってきて」
「やだー、私何回パシられるわけ?」
同中なのだろう、親しげに楽しく会話をしているふたり。そして、彼女がいなくなると、今度は、
「おーい新、昨日のリベンジやるぞ」
と、江藤くんがやってきた。腕を肘からぶんぶん揺らして、腕相撲のことを言っているらしい。入学初日から思っているけれど、坂木くんの周りには自然と人が寄ってくる。人気者の証だ。
「一回勝負って言ったじゃん」
「お前さ、そんなニコニコ笑顔で怪力なんて詐欺なんだよ。昨日は油断させられて負けたんだから、今日が本番な」
そう言いながら、私の机を使おうと肘を立ててしゃがむ江藤くん。座っている私と目線が合ったことでようやくこちらに気付き、
「誰?」
と言われる。
「こ、紺……」
そこへ、他のクラスの女子が来て、坂木くんの背中に両手をあてた。「うおっ」と驚きの声を上げた坂木くんは、彼女を見る。
「あぁ、スギムーか。びっくりした。どした?」
「なんかさ、りょうちんがさっそく現代文の教科書忘れたらしくてさ、新に借りてきてって。私、パシられてきたの」
「なんだそれ、本人が来いって言ってきて」
「やだー、私何回パシられるわけ?」
同中なのだろう、親しげに楽しく会話をしているふたり。そして、彼女がいなくなると、今度は、
「おーい新、昨日のリベンジやるぞ」
と、江藤くんがやってきた。腕を肘からぶんぶん揺らして、腕相撲のことを言っているらしい。入学初日から思っているけれど、坂木くんの周りには自然と人が寄ってくる。人気者の証だ。
「一回勝負って言ったじゃん」
「お前さ、そんなニコニコ笑顔で怪力なんて詐欺なんだよ。昨日は油断させられて負けたんだから、今日が本番な」
そう言いながら、私の机を使おうと肘を立ててしゃがむ江藤くん。座っている私と目線が合ったことでようやくこちらに気付き、
「誰?」
と言われる。
「こ、紺……」