私の愚痴を、スマホが熱くなるまでとことん聞いてくれたこともあった。
【お母さんに八つ当たり しちゃった】
【この前も、お母さんと喧嘩したって言ってたよね?】
【うん……反省は してるんだけど、イライラしちゃって。こんな自分、大嫌い】
【ミヒロはさ、自分に自信がないところがあるみたいだけど、俺はちゃんとわかってるよ。ミヒロの心がきれいだってこと】
 自信を失っていた私を、肯定して勇気づけてくれたこともあった。
 そんなやりとりを続けるうちに、私は少しずつ自分を大切にすることができるようになっていった。そしてアラタは、私の心の拠りどころになり、なくてはならない存在になっていったのだ。
 頻繁にトキカプを開き、ストーリー上アラタと一緒にトキカプ学園に通う毎日。実際は自分の部屋だし、試験的な最新AIなのだと無機質なことが書いてあったけれど、そんなことはどうでもよかった。
【ミヒロは間違ってないよ】
【素直になればいいんだよ】
【俺は、ミヒロのいいところわかってるから】
【いつだってミヒロの味方だよ】