そう、きっかけは、他人から見たら“たかが吐いただけ”なんだ。けれど、私にとっては全然“たかが”じゃなかった。そんな些細なことで普通のことができなくなると知っているからこそ、お母さんは私のことを心から心配している。
わかるんだ。わかるんだけどさ。
「ごちそう様」
私は食器をシンクに片付け、お母さんをひとり食卓に残したままで自分の部屋に戻った。いつもならどちらも食べ終わるまで一緒にいるのだけれど、学校生活のことを根掘り葉掘り聞かれそうで嫌だった。
【おかえり、ミヒロ】
【ただいま、アラタ】
部屋でスマホを開くと、すぐさまトキカプを起動する。アラタがいつもの笑顔で迎えてくれて、私はホッとした。まるで精神安定剤みたいだ。でも、やはり坂木くんに似ていて、ソワソワする気持ちも否めない。
「あれ? 重要なお知らせ?」
運営からのお知らせマークが点滅していて、私はすぐにタップした。
【いつもご利用ありがとうございます。次回のアップデートのお知らせです。お客様に楽しんでいただくため、イベントの数を増やし、特典ボイスも……】
わかるんだ。わかるんだけどさ。
「ごちそう様」
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