まぁ、でも、まだ二日目ということで、他の人も様子をうかがっている感じだ。いろんな中学からバラバラに集まってきている高校だから、男子たちも女子たちも、誰と気が合うのか探り合っている段階なのだろう。
「具合が悪くなったりしてない?」
「してないよ」
「もし体調が悪くなったら、すぐに先生に……」
「わかってるってば」
 私は、お母さんの言葉を遮るように返した。お母さんは、「それならいいけど」と言って、ちらりともう一度私を見てうなずく。
 お母さんが私の体調のことを気にかけているのには理由がある。私が中三の春……進級してすぐに不登校になったきっかけが、学校の廊下の人の多いところで嘔吐した出来事だからだ。
 そのことがあって、私は恥ずかしさ といたたまれなさで、学校に行けなくなった。最初はその体調不良を理由に休ませてもらい、その後ずるずると休み続け、そうこうしているうちに登校するきっかけをつかめなくなって、引きこもり一年間のできあがり。