笑っていたい、君がいるこの世界で

「俺の親戚が近くに住んでてさ、親が仕事で遅いときとか、弟と妹と一緒に、たまに世話になってるんだ。今日は叔父さんが早く帰ってきてるみたいで、迎えにきてくれるって。紺野も一緒に送るよ」
「え……そんな、悪いよ」
「この土砂降りで置いていったら、俺、悪者になるでしょ?」
 こういうときの坂木くんは、どんなに断っても引かない。だから結局、お世話になることにした。坂木くんの叔父さんに送ってもらうなんて、一気に彼の内側にお邪魔する感じがして落ち着かないけれど。

 迎えにきてくれた車のところまでは、相合傘で走った。いくぶん雨は弱まっていたけれど、坂木くんと肩が触れるたびに心臓が口から出そうになった。
「どうぞー」
「お、お邪魔します。よろしくお願いします」
 心臓の早鐘がおさまらぬままワゴン車に乗りこんだ私は、運転席のおじさんに挨拶をし、坂木くんに続いて中に入る。おじさんといっても四十歳前後で、若々しくてかっこいいおじさんだ。さすが、坂木くんの叔父さん。
 感心しながら坂木くんの横に座ると、おじさんが私と坂木くんの間にある袋を指差して言った。