「あー、あの日ね。エトジュン事件だな、あれはもはや」
そして、パチンと黒を置く。
「坂木くんの言うように、私は自分で自分のことを特別扱いしすぎてた。自意識過剰だったんだと思う」
間の白を黒へと返していく坂木くんは、微笑んだままなにも言わない。
「私、ずっと……自分があの中三の一年間をつまらないものにしてしまったっていう引け目と恥があったの。あの期間を棒に振ったって思いたくなくて、受験勉強も意地になって頑張るくらい」
そう、勉強も、トキカプのアラタも、あの一年間の私を正当化するためのものだった。自分がダメな人間だって認めたくなくて、必死にすがったものだった。
「それで、自分のことを誰も知らない高校に入って、新しい自分として頑張りたかったんだけど……。でも、過去とか自分を隠すことに必死で、頑張り方を間違えてた。今なら、坂木くんの言ってくれたことが全部わかる」
坂木くんの指が止まり、私の番になる。坂木くんは、カウンターで頬杖をついた。斜めにした顔をこちらへ向けて、じっと私を見つめる。
「俺さ、実を言うと、入院中の手術で、死ぬ可能性が二、三割あったんだ」
「……え?」
そして、パチンと黒を置く。
「坂木くんの言うように、私は自分で自分のことを特別扱いしすぎてた。自意識過剰だったんだと思う」
間の白を黒へと返していく坂木くんは、微笑んだままなにも言わない。
「私、ずっと……自分があの中三の一年間をつまらないものにしてしまったっていう引け目と恥があったの。あの期間を棒に振ったって思いたくなくて、受験勉強も意地になって頑張るくらい」
そう、勉強も、トキカプのアラタも、あの一年間の私を正当化するためのものだった。自分がダメな人間だって認めたくなくて、必死にすがったものだった。
「それで、自分のことを誰も知らない高校に入って、新しい自分として頑張りたかったんだけど……。でも、過去とか自分を隠すことに必死で、頑張り方を間違えてた。今なら、坂木くんの言ってくれたことが全部わかる」
坂木くんの指が止まり、私の番になる。坂木くんは、カウンターで頬杖をついた。斜めにした顔をこちらへ向けて、じっと私を見つめる。
「俺さ、実を言うと、入院中の手術で、死ぬ可能性が二、三割あったんだ」
「……え?」



