私をちゃんとわかってくれて、私もちゃんとわかりたいという相手がいるだけで、心はかなり強くなった気がする。それに、多数決で多いほうの人間としか友達になれないなんて、そんな決まりはないんだ。
「私……」
神谷さんは 箸を片付けて、ぽつりと言った。
「中学のときに『神谷さんのせいで私までいじめられる』って言われて友達を失ってから、友達を作るのをあきらめてたの」
横にいる私を見て、眉を下げて笑う神谷さん。私は、相槌の代わりにゆっくりとうなずく。
「最初はね、腹が立ったの。いじめる人にはもちろんだけど、それで離れていく友達にも。でも、他のグループに行って笑ってるその子を見たら、あぁ、邪魔者は私だったんだな、って思って」
「ち、違うと思う」
私は、見たことのないその子の笑顔が、中学生の自分と同じ作り笑顔だったんじゃないかと思った。きっと、彼女は私と一緒で臆病だったんだ。その他大勢と同化することでしか、自分を保てなかった。神谷さんみたいに、確かなアイデンティティーを持てていなかったんだ。
「ありがと」
神谷さんは、私が気を使っているのだと思ったようで、ふっと微笑み、そして続ける。
「私……」
神谷さんは 箸を片付けて、ぽつりと言った。
「中学のときに『神谷さんのせいで私までいじめられる』って言われて友達を失ってから、友達を作るのをあきらめてたの」
横にいる私を見て、眉を下げて笑う神谷さん。私は、相槌の代わりにゆっくりとうなずく。
「最初はね、腹が立ったの。いじめる人にはもちろんだけど、それで離れていく友達にも。でも、他のグループに行って笑ってるその子を見たら、あぁ、邪魔者は私だったんだな、って思って」
「ち、違うと思う」
私は、見たことのないその子の笑顔が、中学生の自分と同じ作り笑顔だったんじゃないかと思った。きっと、彼女は私と一緒で臆病だったんだ。その他大勢と同化することでしか、自分を保てなかった。神谷さんみたいに、確かなアイデンティティーを持てていなかったんだ。
「ありがと」
神谷さんは、私が気を使っているのだと思ったようで、ふっと微笑み、そして続ける。



