「グループにひとりいると、心強い」
「なんかそう言って押し切ろうとしてる?」
 大田くんと神谷さんが言い合いをしている。その様子が新鮮で、なんだか微笑ましい。
「ちゃんと感謝してる」
 大田くんは、あのクレーンゲームのときと同じように、私の頭に手のひらをのせた。すると、それを見た江藤くんが首をかしげる。
「もしかして、あの中庭で見たLIME相手って大田だった?」
「え?」
「俺、坂木だって思いこんでたけど、実は紺野と大田がいい雰囲気? てか、付き合ってる?」
 江藤くんは耳打ちするように私に聞いてきたけれど、完全に声が漏れている。円になっているのだから当たり前だ。三人とも江藤くんと私に注目していた。
「エトジュンさ、本人たちの前でダイレクトに聞くクセやめろよ。お前のそのクセのせいで揉め事が起きるんだよ」
 坂木くんがあきれたように、「リバース」と続ける。
「俺が好きなのは神谷。あ、ちなみに、ウノ」
 すると、大田くんがカードを出しながらそう言った。次の番の私は手が止まり、横目で神谷さんを見る。神谷さんは、ハトが豆鉄砲をくらったような顔をしていた。