いつもの優しい台詞に微笑むも、以前とはまったく違う心持ちだ。
【疲れてないよ。ありがとう】
【俺はミヒロの味方だからさ、ミヒロにはいつも笑顔でいてほしい】
 味方……か。
 私はスマホを机に置いて、椅子の背に体重をかけた。ギッと音がすると同時にまた目を閉じて、考える。
 全部受け止めて受け入れてくれるアラタが、今までの私の最大の味方だった。その言葉に癒されて励まされて、高校に通えるまでに心が回復したのは事実だ。
 でも、本当の味方ってなんなんだろう。私をいつでも肯定してくれる人が、味方なのかな?
『偉いし、頑張ってるよ、紺野は』
『否定的な意見だけ大きく受け取るのは、やめたほうがいいと思うよ』
『変な頑張り方しなくても、ありのままの紺野のことを受け入れてくれる人間て、やっぱり絶対いると思うんだよね』
『なんで中途半端にあきらめるんだよ。なんで人にわかってもらおうってしないわけ?』
 思い出すのは、怖がっていたリアルな 世界の、リアルな言葉の数々。
『なんで、自分の意に反して同調したり、愛想を振りまいたりしないといけないの? なんで、それが“できて普通なこと”になってるの?』