視界の隅に、坂木くんの姿が入った。隣の大田くんの席の周りで、一緒に学食に行こうと何人かで話している。こちらを見ている雰囲気じゃないけれど、きっと聞こえているだろう。なぜだか、そのことが逆に私の気持ちを奮い立たせてくれる。
「本当……」
「うん?」
「本当だよ。それ」
「えっ?」
私の言葉に、彼女はわざとらしく驚いた声を上げた。
「そうなの?」
声のトーンを変えてリアクションを大きくしたものだから、いっそう周りがざわざわとこちらを見る。知らない人はなんの話かわからないだろうけれど、情報を聞いていた人は、やっぱりとうなずいているようだ。
私は、鼻から深く空気を吸いこんだ。ぎゅっとこぶしを固める。
「でも、この高校で、新しい気持ちで頑張りたいと思ってる」
できるだけ落ち着いて言ったつもりだった。けれど、やはりカクカクとした言い方になってしまった。もう一度、息を吸う。
「今、頑張ってるところ」
今度ははっきりとした声で言い切ると、その子は目を泳がせた。
「あ……あぁ、そう」
小刻みにうなずいて肘をかかえ、「ふーん……」と続ける。
「本当……」
「うん?」
「本当だよ。それ」
「えっ?」
私の言葉に、彼女はわざとらしく驚いた声を上げた。
「そうなの?」
声のトーンを変えてリアクションを大きくしたものだから、いっそう周りがざわざわとこちらを見る。知らない人はなんの話かわからないだろうけれど、情報を聞いていた人は、やっぱりとうなずいているようだ。
私は、鼻から深く空気を吸いこんだ。ぎゅっとこぶしを固める。
「でも、この高校で、新しい気持ちで頑張りたいと思ってる」
できるだけ落ち着いて言ったつもりだった。けれど、やはりカクカクとした言い方になってしまった。もう一度、息を吸う。
「今、頑張ってるところ」
今度ははっきりとした声で言い切ると、その子は目を泳がせた。
「あ……あぁ、そう」
小刻みにうなずいて肘をかかえ、「ふーん……」と続ける。