笑っていたい、君がいるこの世界で

 改めて言われた私の胸は、ずんと重たくなった。胸もとを押さえ、顔をしかめてうつむく。
「そしたら、隣のクラスの女子だったんだ。昨日靴箱近くで紺野と会話してたの聞かれてたみたいで、軽い気持ちでまわしたらしい」
 昨日、江藤くんが私に約束してくれた顔は、ちゃんと真剣な顔だった。だから、もしかしたらそうじゃないかなとは思っていた。けれど、情報が出回ってしまったことは、事実だ。それで気持ちが晴れるわけではなく、胸には苦々しい気持ちが残る。
「それで……結果的にこうなってしまったのは、そもそも俺が紺野の過去をいじるようなことをしたからだし、軽い気持ちって言うなら、最初の俺も正直そうだったんだ。だから、ちゃんとこのことを説明して、改めて謝ろうと思って……それで、ここに来たんだけど」
「ちょっと待って!」
 江藤くんの話を遮って、今の今まで黙って聞いていた神谷さんが口をはさんだ。振り返ると、両腰に手をあてて仁王立ちをしている。顔は、今までで一番怖い表情だ。江藤くんをこれでもかというほど睨んでいる。
「なに? 今の話。引きこもりってなんのこと? それに、“土曜日の脅し”? “過去をいじった”?」