笑っていたい、君がいるこの世界で

「俺は、出回ってるLIMEのことで、紺野に弁解しに」
 江藤くんが言い終わらないうちに、坂木くんは江藤くんのもとへ歩み寄り、胸ぐらをつかんだ。私は両手で口を押さえる。
「お前、最低だな! 土曜日の脅しだけでもありえないのに、なに言いふらしてんだよ!」
 坂木くんがまるで殴りかかるような勢いで凄む。
「坂木くん、やめてっ」
「ちょっと待てって! 俺、紺野の引きこもりのこと言ってないって!」
 私が坂木くんに駆け寄ると同時に、江藤くんも慌てて首を横に振った。すると、坂木くんは、ゆっくりと振り向いて私を見る。
「え……?」
 腕にしがみついた私と目が合い、坂木くんは江藤くんから静かに手を離す。江藤くんは、少し咳きこんでから襟もとを正した。
「俺、昨日、紺野に謝ったし、絶対に言わないからって約束もしたんだよ」
「じゃあ、なにを弁解しにここに来たんだよ?」
「なんか紺野のことでLIMEが出回ってるって聞いたから、クラスのヤツに内容見せてもらったんだ。そしたら、紺野が中三のときずっと引きこもってた、って書かれてたから、情報元をたどって」