月曜日の朝。
「美尋、そろそろ起きないと遅刻するわよ?」
 ノックの音と一緒に、お母さんが廊下から声をかけてくる。三十分前から目が覚めていた私は、ため息をついて体を起こした。
「はーい……」
 返事をしたものの、体が鉛のように重たい。学校に行きたくない。
 けれど、そんなことは言えない私は、長い髪をかき上げ、ベッドから腰を上げた。

「名前もだいたい覚えてきたし、身長差で黒板が見えにくい人がいるようなので、席替えをします」
 先生がそう言ったのは、朝のホームルームだった。すぐにくじ引きが始まり、あれよあれよと言う間に席が移動されていく。私の席は、窓際の一番うしろの席になった。坂木くんは廊下側の二番目、神谷さんは真ん中あたりだ。ちなみに、坂木くんと離れた代わりに、大田くんが隣になった。
 大田くんからは、包帯を巻いた手を見て、「大丈夫?」と聞かれたけれど、それ以上追及されることはなかった。
 私は、神谷さんとも坂木くんとも席が離れたことに、ホッとしていた。図書当番も終わったし、できれば、このままずっと話さずにおとなしく学校生活を送りたい。