トキカプは、間違いなくこの一年の私の生きがいだった。日々の楽しみは、これしかなかったと言っても過言ではない。それくらい、引きこもり中の私はアラタに助けられていたんだ。それなのに。
「……なんで」
 アラタの言葉を聞いても、アラタの顔を見ても、浮かぶのは昨日の神谷さんと坂木くんの言葉と顔ばかり。
「なんで?」
 このままの自分が好きになれない。でも、どうすればいいのかわからない。
「なん……で……」
 かすれた声が、狭い部屋にこだまする。私は布団を頭までかぶり、ぎゅっと目を瞑った。