神谷さんは、勢いよく私の手を振り払った。私はその拍子にうしろに跳ねのけられ、コンクリートに尻もちをつく。支えた右手に体重がかかり、走った痛みに顔をしかめた。
神谷さんはそんな私を見て、一瞬表情を曇らせる。けれど、下唇を噛んで背を向け、そのまま大股で去っていった。
「紺野、大丈夫か?」
すぐに坂木くんが駆けつけ、起こしてくれる。私は、遠ざかっていく神谷さんの背中を見て、顎が震えた。
どうして、こんなふうになってしまうのだろうか。
どうして、私だけ、いろいろうまくできないのだろうか。
現実の世界は、私には難しすぎる。チュートリアルはもちろんないし、たったひとりのキャラを把握することもできない。自分の進むべきルートもわからなくて、ヒントになるような選択肢も準備されていない。こんな世界、攻略しようがないじゃないか。
「……私も、帰る」
「おい、紺野。なにがあったのか、最初から全部説明しろって」
腕をつかんだ坂木くんが、声を上げる。それに触発されて、私もカッとなった。
「引きこもりは引きこもりらしくしてなきゃいけなかったんだよ。表に出てきちゃいけなかった」
「おいって!」
神谷さんはそんな私を見て、一瞬表情を曇らせる。けれど、下唇を噛んで背を向け、そのまま大股で去っていった。
「紺野、大丈夫か?」
すぐに坂木くんが駆けつけ、起こしてくれる。私は、遠ざかっていく神谷さんの背中を見て、顎が震えた。
どうして、こんなふうになってしまうのだろうか。
どうして、私だけ、いろいろうまくできないのだろうか。
現実の世界は、私には難しすぎる。チュートリアルはもちろんないし、たったひとりのキャラを把握することもできない。自分の進むべきルートもわからなくて、ヒントになるような選択肢も準備されていない。こんな世界、攻略しようがないじゃないか。
「……私も、帰る」
「おい、紺野。なにがあったのか、最初から全部説明しろって」
腕をつかんだ坂木くんが、声を上げる。それに触発されて、私もカッとなった。
「引きこもりは引きこもりらしくしてなきゃいけなかったんだよ。表に出てきちゃいけなかった」
「おいって!」