言いながら、神谷さんの表情が切り替わった。なにかに気付いたように、視線がパッと上がる。
「わざと?」
私はうつむいたまま下唇を噛んだ。言い逃れができない。
「思い過ごしじゃなければだけど、私、入学した日から、江藤くんによく絡まれてるの。それに、今日もなんか押しが強いっていうか、つきまとってくるっていうか」
知ってる。神谷さんがそれで困っているっていうのも……知ってる。
「もしかして、あえて私を誘って、江藤くんに協力したわけ? 坂木くんと一緒にいたいからって、私をダシにして?」
「違う! そういう理由で協力したんじゃない」
「協力したっていう部分は、認めるのね?」
……あ。
立ち上がりかけて一瞬ぐらりと揺れた観覧車。私は勢いよく上げた腰を、ゆっくりと下ろす。かなり高いところまで来て いるけれど、景色なんて見ている余裕はない。目の前の神谷さんの鋭い目が、私を縛りつけて離さない。
「紺野さんにも話したけど、私は人の気持ちを考えずにぐいぐいくる男の人って、すごく苦手なの」
加賀見先輩ほどじゃないけれど、江藤くんもそういうところがある。私も苦手だ。
「わざと?」
私はうつむいたまま下唇を噛んだ。言い逃れができない。
「思い過ごしじゃなければだけど、私、入学した日から、江藤くんによく絡まれてるの。それに、今日もなんか押しが強いっていうか、つきまとってくるっていうか」
知ってる。神谷さんがそれで困っているっていうのも……知ってる。
「もしかして、あえて私を誘って、江藤くんに協力したわけ? 坂木くんと一緒にいたいからって、私をダシにして?」
「違う! そういう理由で協力したんじゃない」
「協力したっていう部分は、認めるのね?」
……あ。
立ち上がりかけて一瞬ぐらりと揺れた観覧車。私は勢いよく上げた腰を、ゆっくりと下ろす。かなり高いところまで来て いるけれど、景色なんて見ている余裕はない。目の前の神谷さんの鋭い目が、私を縛りつけて離さない。
「紺野さんにも話したけど、私は人の気持ちを考えずにぐいぐいくる男の人って、すごく苦手なの」
加賀見先輩ほどじゃないけれど、江藤くんもそういうところがある。私も苦手だ。



