坂木くんは鋭い 。私のことをわかっている。
「いろいろ……あって」
具体的には言えなくて濁すと、それがそっけなく聞こえたのだろうか、坂木くんは腕組みをして横から覗きこんできた。
「紺野、俺のこと怒ってるの?」
「怒ってない」
しまった。ちょっとムキになった言い方をしてしまった。こういうやりとりに慣れていなくて、小学生みたいな態度になっている。
「怒ってないなら、目を逸らさないでよ。俺、地味に傷付くんだけど」
「逸らしたくて逸らしてるわけじゃ……」
「なんだよ。せっかく仲よくなったと思ったのに、拒否反応?」
「違うよ」
なんて返せばいいんだろう。そんなつもりはないけれど、だからといって説明しようのないこの気持ち。自分でもよくわかっていないから、言葉にできない。
「あれか。昨日俺が言ったことが図星だったからか」
その言葉に、私の体は強張った。飲みこんだ唾が、喉につっかえたような感じがする。“図星だった”……そのこと自体も、図星だ。
「でもさ、変な頑張り方しなくても、ありのままの紺野のことを受け入れてくれる人間て、やっぱり絶対いると思うんだよね」
「いろいろ……あって」
具体的には言えなくて濁すと、それがそっけなく聞こえたのだろうか、坂木くんは腕組みをして横から覗きこんできた。
「紺野、俺のこと怒ってるの?」
「怒ってない」
しまった。ちょっとムキになった言い方をしてしまった。こういうやりとりに慣れていなくて、小学生みたいな態度になっている。
「怒ってないなら、目を逸らさないでよ。俺、地味に傷付くんだけど」
「逸らしたくて逸らしてるわけじゃ……」
「なんだよ。せっかく仲よくなったと思ったのに、拒否反応?」
「違うよ」
なんて返せばいいんだろう。そんなつもりはないけれど、だからといって説明しようのないこの気持ち。自分でもよくわかっていないから、言葉にできない。
「あれか。昨日俺が言ったことが図星だったからか」
その言葉に、私の体は強張った。飲みこんだ唾が、喉につっかえたような感じがする。“図星だった”……そのこと自体も、図星だ。
「でもさ、変な頑張り方しなくても、ありのままの紺野のことを受け入れてくれる人間て、やっぱり絶対いると思うんだよね」



