「お姉ちゃん、お兄ちゃん、ありがとう!」
女の子はそう言って深く頭を下げ、手をぶんぶん振って駆けていった。お父さんがいるのだろう場所へと角を曲がり、その姿は見えなくなる。
あの子……五十キャラもいる中でアラタのことまで把握してるなんて、もしかしてトキカプヘビーユーザー? それとも、アラタ推し?
「いる?」
大田くんは、袋の中の特大ボックス からキャラメル箱を取り出し、私に手渡してきた。
「あ……ありがとう」
受け取ると、大田くんは私をじっと見下ろしてくる。
「いい子」
「え? あぁ、うん。お礼をちゃんと言える子だったね」
「いや、紺野のこと」
頭の上に、温かいものが置かれた。それが大田くんの手だと気付いたと同時に、声が聞こえる。
「オオタン、どこ……て、あ」
坂木くんが、クレーンゲームの向こうから、ひょこっと顔を出したのだ。私の頭に手をのせた大田くんを見て、固まっている。
「邪魔した?」
「いや」
大田くんはゆっくりと手を離し、キャラメルをまたひと箱取り出して、坂木くんに手渡しにいった。
「あげる」
「いつの間に獲ったんだよ。いるけどさ。サンキュー」
女の子はそう言って深く頭を下げ、手をぶんぶん振って駆けていった。お父さんがいるのだろう場所へと角を曲がり、その姿は見えなくなる。
あの子……五十キャラもいる中でアラタのことまで把握してるなんて、もしかしてトキカプヘビーユーザー? それとも、アラタ推し?
「いる?」
大田くんは、袋の中の特大ボックス からキャラメル箱を取り出し、私に手渡してきた。
「あ……ありがとう」
受け取ると、大田くんは私をじっと見下ろしてくる。
「いい子」
「え? あぁ、うん。お礼をちゃんと言える子だったね」
「いや、紺野のこと」
頭の上に、温かいものが置かれた。それが大田くんの手だと気付いたと同時に、声が聞こえる。
「オオタン、どこ……て、あ」
坂木くんが、クレーンゲームの向こうから、ひょこっと顔を出したのだ。私の頭に手をのせた大田くんを見て、固まっている。
「邪魔した?」
「いや」
大田くんはゆっくりと手を離し、キャラメルをまたひと箱取り出して、坂木くんに手渡しにいった。
「あげる」
「いつの間に獲ったんだよ。いるけどさ。サンキュー」



