笑っていたい、君がいるこの世界で

「え?」
 そして、あれよあれよという間にアラタをすくいあげ、ポスンと下に落とす。下の受け取り口から、マスコットアラタの丸い手が見えた。
「嘘だ……すごい……」
 しゃがんで取り出した私は、尊敬の目で大田くんを見上げる。
「俺、こういうの得意で、このキャラメルもさっき取った」
 気付かなかったけれど、大田くんは足もとに大きな袋を置いていた。その中にはキャラメルが幾ダースも入っている特大ボックスが見える。いつの間に、こんな戦利品をゲットしたんだ。
「すごーい!」
 女の子も、尊敬のまなざしで大田くんを見上げた。その声でハッとした私は、手に持っていたマスコットを彼女に差し出す。
「これ、どうぞ」
「え? これ、お姉ちゃんのでしょ?」
「ううん。もともと、あげようと思ってプレイしてたの」
 たしかに、私もこのアラタを部屋に飾りたい。けれど、指をくわえてトキカプ男子マスコットを見ていた彼女を、同志として放って はおけなかった。それに、推しのアラタを勧めたくもなったのだ。私はまた今度こっそり、獲りにくればいいだろうし。
「わーい! アラタだ、アラタ!」
 ……ん?