興奮が冷めやらぬなか、私と神谷さんは出口へ向かう。こんなふうにしゃべる神谷さんは珍しくて、それがなんだか嬉しい。
「紺野さん、誘ってくれてありがとう。映画もよかったけど、家族以外と映画を観る って、こんなに楽しいものなのね」
「あ……うん、私も……楽しい。楽しかった」
少し照れくさいけれど、本音だった。もともと外で友人と一緒に遊ぶことがなかったということもあって、すごく新鮮だ。
出入口の自動ドアから外へ出ると、春の風が心地よく吹いていた。神谷さんがなびく髪を押さえながら、私のほうを向く。珍しく微笑んでいる。
「せっかくだし、このあと、もう少し話してから帰らない? 割引チケットのお礼に、なにか飲み物でもおごるから」
うん、と返事をしようとしたときだった。
「あ、紺野と神谷さんじゃん」
急に昨日の取引を思い出させる声が聞こえ、私と神谷さんはその声の主を見た。
「偶然だねー」
私にだけものすごくわざとらしく聞こえる その台詞を言うのは、思ったとおり江藤くん。そして、そのうしろには坂木くんと、なぜか大田くんもいた。私は坂木くんと目が合って、思わず顔を伏せてしまう。
「紺野さん、誘ってくれてありがとう。映画もよかったけど、家族以外と映画を観る って、こんなに楽しいものなのね」
「あ……うん、私も……楽しい。楽しかった」
少し照れくさいけれど、本音だった。もともと外で友人と一緒に遊ぶことがなかったということもあって、すごく新鮮だ。
出入口の自動ドアから外へ出ると、春の風が心地よく吹いていた。神谷さんがなびく髪を押さえながら、私のほうを向く。珍しく微笑んでいる。
「せっかくだし、このあと、もう少し話してから帰らない? 割引チケットのお礼に、なにか飲み物でもおごるから」
うん、と返事をしようとしたときだった。
「あ、紺野と神谷さんじゃん」
急に昨日の取引を思い出させる声が聞こえ、私と神谷さんはその声の主を見た。
「偶然だねー」
私にだけものすごくわざとらしく聞こえる その台詞を言うのは、思ったとおり江藤くん。そして、そのうしろには坂木くんと、なぜか大田くんもいた。私は坂木くんと目が合って、思わず顔を伏せてしまう。