「紺野、もしかして俺と噂になるのを恐れてる?」
私があまりにしつこいからか、坂木くんは少し拗ねたような顔をしてこちらを見た。
「みんなそんなこと気にしてないよ。言ってきたら、違うって答えるだけじゃん」
「だって、坂木くん、嫌でしょ? 私なんかとそう言われたら」
「紺野ってさー」
自転車の車輪のまわる音が、ぴたりと止まった。そして、坂木くんが首のうしろをかき、息をつく。
「自己評価低すぎだし、周りを気にしすぎて逆に自意識過剰になってるよ?」
ふたりとも立ち止まると、うしろから来た自転車のおじさんが追い越していった。
自意識過剰? まるで自分が大好きなナルシストみたいな言われように、私は小鼻をふくらませる。
「それは……し、仕方ないよ。私は一年間失敗したようなものなんだから、高校では、もう失敗したくないし。ど、努力してる最中で……」
「紺野の言う努力って、どんな努力?」
……あれ?
立ち止まって言い合いになりながら、私は違和感に気が付いた。坂木くんが、全然アラタじゃなくなっている気がする。アラタだったら、絶対にこんな言い方しないはずだから。
「どんな……努力?」
私があまりにしつこいからか、坂木くんは少し拗ねたような顔をしてこちらを見た。
「みんなそんなこと気にしてないよ。言ってきたら、違うって答えるだけじゃん」
「だって、坂木くん、嫌でしょ? 私なんかとそう言われたら」
「紺野ってさー」
自転車の車輪のまわる音が、ぴたりと止まった。そして、坂木くんが首のうしろをかき、息をつく。
「自己評価低すぎだし、周りを気にしすぎて逆に自意識過剰になってるよ?」
ふたりとも立ち止まると、うしろから来た自転車のおじさんが追い越していった。
自意識過剰? まるで自分が大好きなナルシストみたいな言われように、私は小鼻をふくらませる。
「それは……し、仕方ないよ。私は一年間失敗したようなものなんだから、高校では、もう失敗したくないし。ど、努力してる最中で……」
「紺野の言う努力って、どんな努力?」
……あれ?
立ち止まって言い合いになりながら、私は違和感に気が付いた。坂木くんが、全然アラタじゃなくなっている気がする。アラタだったら、絶対にこんな言い方しないはずだから。
「どんな……努力?」