「今上映されてる『メグとエミリー』 も面白そう。知らない?」
「え……?」
私は、今日貰ったチケットの映画タイトルを思い出そうとした。そんな名前だったような気がしたからだ。
ゆっくりポケットに手を突っこんで、おそるおそる取り出してみる。すると、神谷さんのほうも、不思議そうな顔をして私の手もとを覗きこんできた。
『メグ&エミリー』
そのチケットには、ポップなフォントで、たしかにそう書かれている。
「え? 紺野さん、今、魔法使った?」
「……使ったかもしれない」
神谷さんが、声を出して笑った。こんな無防備な表情は初めてだ。
あぁ、どうしよう。偶然の流れとはいえ、もう引き下がれなくなってしまった。
「あの……神谷さん、明日、ヒマ?」
私は、眉を下げて笑顔を作りながら、そう尋ねていた。握っているチケットが、いっそうぐにゃりと曲がってしまった。
放課後。いつものようにトイレに寄ってから図書室へ行くと、坂木くんが私の椅子との間にオセロを準備していた。
「今日、誰もいないみたいだし、いいでしょ」
「え……?」
私は、今日貰ったチケットの映画タイトルを思い出そうとした。そんな名前だったような気がしたからだ。
ゆっくりポケットに手を突っこんで、おそるおそる取り出してみる。すると、神谷さんのほうも、不思議そうな顔をして私の手もとを覗きこんできた。
『メグ&エミリー』
そのチケットには、ポップなフォントで、たしかにそう書かれている。
「え? 紺野さん、今、魔法使った?」
「……使ったかもしれない」
神谷さんが、声を出して笑った。こんな無防備な表情は初めてだ。
あぁ、どうしよう。偶然の流れとはいえ、もう引き下がれなくなってしまった。
「あの……神谷さん、明日、ヒマ?」
私は、眉を下げて笑顔を作りながら、そう尋ねていた。握っているチケットが、いっそうぐにゃりと曲がってしまった。
放課後。いつものようにトイレに寄ってから図書室へ行くと、坂木くんが私の椅子との間にオセロを準備していた。
「今日、誰もいないみたいだし、いいでしょ」



