「開放的で、すごくいい。来週から、ここで一緒に食べていい?」
「うん、もちろん。ていうか、わ、私も一緒にいいの?」
「なにその質問。私が紺野さんを追い払って、ひとりで食べたいとでも思うの?」
「……思わないけど」
ツンとしていた彼女が、あきれたように言った。なんとなく、いつもよりお弁当の味がおいしい。
食べていると、いい風が吹いた。私と神谷さんの同じ長さの髪が一緒の方向へなびき、似たような乱れ髪になる。神谷さんはポケットからヘアゴムを取り出した。ふたつ持っていたようで、そのひとつを私にくれる。
「あ……ありがとう」
「伸ばしてるの? 髪」
「……うん。長いのに憧れがあって」
結びながら、無難な理由を言う。アラタが長い髪の女性が好きだからとは言えない。
「神谷さんも伸ばしてるの?」
「私は、好きなハリウッド女優さんの長い髪を真似してて」
「洋画好きなの?」
「うん。よく観る」
その流れで、私はポケットに入れてある映画の割引チケットを強く意識した。朝、江藤くんに言われた交換条件。神谷さんを騙すことになるから、すごく嫌なのだけれど。
「うん、もちろん。ていうか、わ、私も一緒にいいの?」
「なにその質問。私が紺野さんを追い払って、ひとりで食べたいとでも思うの?」
「……思わないけど」
ツンとしていた彼女が、あきれたように言った。なんとなく、いつもよりお弁当の味がおいしい。
食べていると、いい風が吹いた。私と神谷さんの同じ長さの髪が一緒の方向へなびき、似たような乱れ髪になる。神谷さんはポケットからヘアゴムを取り出した。ふたつ持っていたようで、そのひとつを私にくれる。
「あ……ありがとう」
「伸ばしてるの? 髪」
「……うん。長いのに憧れがあって」
結びながら、無難な理由を言う。アラタが長い髪の女性が好きだからとは言えない。
「神谷さんも伸ばしてるの?」
「私は、好きなハリウッド女優さんの長い髪を真似してて」
「洋画好きなの?」
「うん。よく観る」
その流れで、私はポケットに入れてある映画の割引チケットを強く意識した。朝、江藤くんに言われた交換条件。神谷さんを騙すことになるから、すごく嫌なのだけれど。



