なんの前置きもなく急に言われたその言葉に、私は思いきり目を見開いた。そして、すぐさま周りに人がいないかを確認する。心臓の音がけたたましい。体が、誰かに乗っ取られたみたいに冷えていく。
幸いにもちょうど人がいなくて、私は「……ちょっと」と言って、靴箱の隅へと江藤くんのシャツを引っ張った。
「あの……なんで……その……」
冷や汗をかきながら、乾いた唇を開く。けれど、ちゃんとした言葉にならない。
「あぁ、昨日、俺の同い年のいとこの家に遊びにいってさ。それで、卒アル見せてもらったら、紺野の個人写真を見つけたんだ。ひとりだけ背景が違ったから、いとこに事情を聞いて」
私は、震える指でゆっくりと唇に触れる。
なんてことだ。学校に行くのが難しくて、別な場所で撮ったのが仇になった。それに、よりによって江藤くんのいとこが私の同級生だったなんて……。
江藤くんは口が軽そうだ。こういうことをけろっとした態度で簡単に口にできるくらいだから、私の気持ちも深く考えていないだろう。きっと、今日中にはクラス中に噂が広がって、私は今よりもっと白い目で見られるようになる。
幸いにもちょうど人がいなくて、私は「……ちょっと」と言って、靴箱の隅へと江藤くんのシャツを引っ張った。
「あの……なんで……その……」
冷や汗をかきながら、乾いた唇を開く。けれど、ちゃんとした言葉にならない。
「あぁ、昨日、俺の同い年のいとこの家に遊びにいってさ。それで、卒アル見せてもらったら、紺野の個人写真を見つけたんだ。ひとりだけ背景が違ったから、いとこに事情を聞いて」
私は、震える指でゆっくりと唇に触れる。
なんてことだ。学校に行くのが難しくて、別な場所で撮ったのが仇になった。それに、よりによって江藤くんのいとこが私の同級生だったなんて……。
江藤くんは口が軽そうだ。こういうことをけろっとした態度で簡単に口にできるくらいだから、私の気持ちも深く考えていないだろう。きっと、今日中にはクラス中に噂が広がって、私は今よりもっと白い目で見られるようになる。



